歳をとっていくにつれて、なんだか忘れっぽくなっていたり、やる気がなくなったり――。それは脳の老化現象かもしれません。『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)の著者・脳科学者の西剛志さんによれば、脳と食事は深く関係しており、日々の食事の仕方を意識することで、この現象を抑えることができるそうです。
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脳が若返る食事の方法とは?ちょいぽちゃ体型がベストの理由
記憶があいまいになったり、気力が低下したりするだけでなく、周りが気にならなくなる、同じ主張を繰り返す、感情的になるといったことは、脳の老化現象によるものだと西さんは言います。
「ただし、一方でこのような“老人脳”になってしまうのは後天的なものであり、日々のさまざまな習慣(思考と行動)の積み重ねによって変えること、遠ざけることができるというのが研究によってわかってきています」(西さん・以下同)
脳のために、気軽に始められる習慣のひとつが、食事に関すること。では、どうするべきなのでしょうか?
食事をよく噛んで食べるとやる気アップ
まず西さんが挙げる食事の習慣は、「よく噛む」ということ。咀嚼には、運動機能や健康機能が向上し、やる気が出て、記憶力や免疫力が高まる、といったたくさんのメリットがあります。認知症を防ぐ効果もあると言われています。
特に注目したいのが、やる気が出るという効果。脳が老化するとやる気がなくなって、さまざまなことが面倒になります。逆に80代、90代になっても若々しい脳の人は、体も心も健康で、認知機能が衰えず、新しいことに挑戦し続けている人が多いのだそうです。
「咀嚼はドーパミン神経を活性化するうえで、とても重要な役割を担っています。ドーパミンは脳の中の線条体という場所から出るのですが、咀嚼をすると、線条体が活性化し、ドーパミンがよく出るようになるのです」
咀嚼を増やすには、ガムやグミを食べるのも◎
ドーパミンはやる気を高める作用があるので、よく噛む人ほどやる気が出ます。最近やる気が落ちているという人は、食事をよく噛むメニューにしましょう。グミやガムを日常的に口にするというのもOKです。歯が悪い人は無理に硬いものを食べなくても、噛む回数を増せばよいそうです。
食事のときに香りを楽しむだけで脳が活性化
西さんは、香りは脳にかなりの刺激を与えていると言います。五感の中でも最も伝達速度が早いのが嗅覚で、それだけ嗅覚と脳のつながりは密接なのだそう。鼻腔と脳は場所が近いので、ダイレクトに脳が活性化されるといいます。
つまり、香りを使えば簡単に脳活ができるのです。一番手軽なのは、食事の香りを意識的に嗅いで脳を刺激すること。できるだけ料理のバリエーションを増やし、日々の食事でいろいろな香りを楽しんでみましょう。
肥満は脳の老化が進むが、痩せすぎもNG
肥満も脳にはよくないそうです。肥満度が高いと、脳が萎縮してしまう傾向がわかってきていると西さんはいいます。BMI45.5以上の肥満レベル4の人の脳は、外側が縮んで内側に空洞ができ、普通の人と比べて10歳も老化していたとの研究結果もあります。ただし、健康面でいうと痩せ過すぎはNG。60歳以上になったら、太り過ぎでも痩せすぎでもない、やや太り気味が脳にも体にも一番よい状態のようです。
やや太り気味が脳にも体にも一番よい状態
「高齢になってからの痩せすぎはかえって死亡率を高めてしまうという研究結果が出ているからです。日本で35万人に対して行った調査によると、最も死亡リスクが低かったのは、男女ともに標準よりも肥満に近いレベルの人でした」
脳のために摂取するべき栄養素7選
“老人脳”になることを防ぐためには、食べ方や体形だけでなく、摂取する栄養も意識しましょう。
動物性たんぱく質は、脳にも体にも◎
100歳以上生きた人の中には、肉や乳製品などの動物性たんぱく質をほとんど毎日取る人が、6割ほどいるという調査結果があります。牛乳や肉などの動物性たんぱく質には、やる気ホルモンであるドーパミンの原料のチロシンというアミノ酸のほか、リラックスホルモンのセロトニンを生み出すトリプトファンというアミノ酸も含まれています。これが、脳の老化を防ぐことに直結しているのだそう。
動物性たんぱく質からドーパミンの原料を摂ることができる
「肉や乳製品などのたんぱく質から必要なアミノ酸を取り込めなくなってしまうと、脳内物質をつくることができなくなり、認知機能の低下を引き起こして、“老人脳”が加速してしまうリスクがあるのです」
さらに動物性たんぱく質は、筋肉をつくる材料にもなるため、健康状態を維持するためにも効果的。脳にとっても体にとっても、動物性たんぱく質は必要なものだといえます。
サーチュイン遺伝子を活性化させるといいことずくめ
動物性たんぱく質だけでなく、西さんが注目しているのがサーチュイン遺伝子。
「若返り遺伝子として知られ、活性化すると、神経の衰えがゆるやかになる、心筋の保護をする、シミやシワが改善される、難聴や視力低下が回復する、炎症や免疫が改善、肝臓の代謝が改善、インスリンの分泌を促すなど、老化を穏やかにすることで寿命が伸びることが科学的に証明されています」
注目のサーチュイン遺伝子を活性化させる栄養素を紹介
このサーチュイン遺伝子を活性化させる栄養素は7つあります。食生活やサプリメントなどでうまく取り入れてみましょう。単体でも効果があるので、無理にすべてをとらなくてもよいそうです。
【1】ナイアシン
かなり強くサーチュイン遺伝子を活性化させる栄養素で、特にかつお節に多く含まれます。ほかにもまいたけ、たらこなどにもあります。
【2】エラグ酸
ポリフェノールの一種でいちごやブラックベリーに含まれます。ブルーベリーにも含まれますが、ブルーベリーに比べてブラックベリーは300倍ほどの含有量。ほかにもクランベリーやザクロにも含まれ、美白効果もあります。
【3】レスベラトロール
ワインなどに含まれるポリフェノールの一種。ただし、サーチュイン遺伝子を活性化させるには10Lの赤ワインを飲まなければならず、現実的ではないのでサプリメントなどで摂取しましょう。
【4】プテロスチルベン
ブルーベリー、オメガ3系の油、青魚、マグロのトロなどに含まれます。こちらもかなりの量を食べる必要があるので、サプリメントでの摂取がおすすめです。
【5】EPA、DHA
サバやアジなどの青魚に多く含まれていて、頭がよくなる油と言われています。1日5g程度の摂取が必要で、サバなら3切れほどの量です。サバ缶を食べるのもOK。オメガ3系の油やブリ、ウナギ、あん肝、マグロのトロなどにも含まれています。魚の脂身部分に多く含まれているので、脂の乗った旬のものを食べるとより効果が期待できます。
【6】ビタミンC
ビタミンCを1日1g摂取すると、若返り遺伝子が活性化することがわかっています。さまざまな果物や野菜に多く含まれている栄養ですが、アセロラはとくに含有量が多いです。
【7】ビタミンD
ビタミンDにはきのこ類に含まれるビタミンD2と、あん肝やしらす干し、いくら、ウナギなど魚介類の油の中に多く含まれるビタミンD3があります。このうち、若返り遺伝子を活性化させるために摂りたいのはビタミンD3です。ただし、厚生労働省が定める1日の上限は100μgで、過剰摂取すると健康被害の恐れがあります。
ビタミンDは日光を浴びることでも作られる
そこで、太陽の力でビタミンD3を作る方法を取り入れるのがおすすめです。日光を浴びることで、皮膚にあるビタミンDの前駆体というものがビタミンD3に変換されるのです。食材やサプリメント、日光を浴びる時間を生活に取り入れてみましょう。
神戸針灸接骨治療院ではこのような健康になるための食事のお話なども投稿しています。
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今回の記事は、脳科学者(工学博士)、分子生物学者・西剛志さんの
【“老人脳”にならないために…今すぐできる食べ方の工夫と“若返り遺伝子”を活性化させる7つの栄養素】より引用させていただきました。
元記事はこちら→“老人脳”にならないために…今すぐできる食べ方の工夫と“若返り遺伝子”を活性化させる7つの栄養素 (1/2)| 8760 by postseven (news-postseven.com)西剛志さん
脳科学者(工学博士)、分子生物学者
東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年に企業や個人のパフォーマンスをアップさせる会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めて1万人以上をサポートしている。テレビやメディアなどにも多数出演。著書シリーズは『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)をはじめとして累計17万部を突破。http://www.trdesign.jp/designer.html