自らをヒップアップ・アーティストと称する松尾タカシ氏はお尻の筋肉を「埋蔵"筋"」と言い表します。
人生100歳時代を、健康なカラダで楽しく生きるために、「埋まっている」お尻の筋肉を掘り起こし、目覚めさせる必要があるのです。
【ヒトのお尻は気づかない間に老けていく】
「お尻」は健康や見た目の美しさに直結するため、カラダのどの部位よりも大事にしなければならないパーツです。
しかし、カラダのどの部位よりも「真っ先に衰えていく」という残念な特徴があります。
お尻がたるむ「ヒップクライシス」は、加齢にともなって徐々に進行します。
「お腹が出てきた」「顔にシワが増えてきた」といったことは、比較的すぐに気づけるでしょう。
でも、お尻はカラダの裏側にあります。
「あれ?」と感じたときには「すっかりタレている」ということが往々にして起こるのです。
「若い頃に穿いていたデニムがなんだか似合わない」
「スーツのサイズはぴったりなのにカッコ悪く見える」
これはヒップラインのたるみが原因です。
見た目の変化だけでなく「階段の上り下りがツラい」という人も、お尻がタレている可能性が高いでしょう。
ヒトはお尻から老けていきます。
いつまでも若々しく健康に、かつ、美しくいたいのであれば、自分のお尻年齢を把握して適切な対応策を取ることが重要です。
そもそも、お尻は「大臀筋」「中臀筋」「小臀筋」という3つの筋肉が集まって形成されています。
これらの筋肉は、足を動かしたり、まわしたりする際に働くのが特徴です。
そのため「お尻がたるむ=筋力が低下」すると、これらの動作をスムーズに行えなくなってしまいます。
腰痛や坐骨神経痛を患ったり、最悪の場合、歩行困難に陥ってしまうこともあるのです。
美しいヒップラインを維持することは、健康を維持することにもつながります。
だからこそ、お尻のケアは老若男女にとって必要なことなのです。
【実はお尻に効かない「トレーニング」】
世の中には、お尻を鍛えるトレーニングやヒップアップを目的としたエクササイズが、たくさん溢れています。
しかし、美尻効果を謳うエクササイズの多くには「落とし穴」があるのです。
下半身の筋肉を鍛える筋トレの中で、もっとも有名なのが「スクワット」なのではないでしょうか。
当然、お尻の筋肉にも効き目がありそうですが、骨盤が後傾している状態で行っても、あまり意味がないのです。
骨盤が正しい位置に維持できていないと、スクワットでしゃがんだ際に股関節よりも膝関節が曲がってしまいます。
そのため、お尻の筋肉に負荷がかからないのです。
スクワット自体はとても効率の良いトレーニングですが、骨盤の傾きによって、有効な人と、まったく意味のない人に分かれてしまう種目だと言えます。
四つん這いの姿勢になり、片方の足を後方へ思い切り蹴り上げる「バックキック」には、
お尻の筋肉を鍛える効果を期待できません。
なぜなら、股関節の後方への可動域は10度程度しかないからです。
直立姿勢で骨盤の位置を固定したまま足を後ろに引いてみましょう。
自分が思っているほど後方へ引きつけることができないと思います。
バックキックで足を後ろへ蹴り上げられるのは、股関節ではなく骨盤が動いているからです。
背中が反って骨盤が後ろへ動いているだけなので、お尻の筋肉にはまったく負荷がかかっていません。
バックキックで鍛えられるのは、太ももの後ろ側の筋肉や背筋です。
自重トレーニングをするだけで、お尻は目覚める
お尻は右側と左側で、それぞれ独立しています。
そのため「片足立ちの姿勢」を取るだけでも、お尻を鍛えることが可能です。
体重が60キログラムの人がスクワットを行ったとしましょう。
このとき、左右の足には30キログラムずつ負荷がかかります。
しかし「片足立ちの姿勢」を取るだけで、てこの原理によって片方の足に180キログラムの負荷がかかるのです。
お尻を鍛えるならば、ウエイトを持つよりも自重トレーニングを行うほうが、断然「効果的」だということが分かってもらえたのではないでしょうか。
【POINT】
・背すじをまっすぐに伸ばす
・太ももを床と平行にする
・フラフラせずに姿勢をキープする
どうしても「ウエイトトレーニングでお尻を鍛えたい」という方は、どんな姿勢でも、しっかりとお尻の筋肉が使えるようになってから取り組むと、十分な効果を期待できると思います。
「片足立ちの姿勢で自分のカラダをコントロールできない」という方は、自重を使いながら、負荷を調整できるトレーニングを行うことがおすすめです。
【お尻の筋肉の「本来持っていた力」を取り戻すエクササイズ】
お尻年齢をリセットするトレーニングとして提案するのが「ベビーステップ7」です。
お尻の筋肉を「鍛える」というよりも「本来持っていた力を取り戻す」ためのエクササイズだと考えてください。
ベビーステップ7は、赤ちゃんが産まれてから歩きはじめるまでに取る「7段階の姿勢」に基づいて構成されています。
赤ちゃんは、次の7つの姿勢を取ることで抗重力筋を鍛え、立ち上がる準備をしているのです。
1. あお向け姿勢
2. 横向き姿勢
3. うつ伏せ姿勢
4. 四つん這い姿勢
5. 座位姿勢
6. ヒザ立ち姿勢
7. 立位姿勢
ベビーステップ7は、これら7つの姿勢を活用しながら、お尻の筋肉とそのほかの抗重力筋を段階的に連動させていきます。
そのため関節への負担を最小限に抑えながら、バランス力のある安定した姿勢の再現性を獲得できるのです。
今回はその一部をご紹介いたします。
【ステップ1】あお向け姿勢(左右3セットずつ・60秒キープ)
※きつい方は30秒でもOK
1. あお向けになって両ヒザを立てる。
つま先をまっすぐ前に向けたまま、お尻を持ち上げる。
2. 1の姿勢を維持したまま片方の足を持ち上げ、ヒザを胸に近づける。
そのまま60秒間姿勢をキープする。
ステップ1の「あお向け姿勢」は、お尻の筋肉に負荷をかけるだけでなく、しっかりお尻を使えているかを確認するためのエクササイズです。
床にあお向けになったら両ヒザを立て、お尻に力を入れながら腰を持ち上げます。
そこから、片方の足のヒザを曲げたまま、できるだけ胸に引き寄せてください。
肩からヒザまでのラインが一直線になっていることが理想です。
この姿勢を60秒間キープします。
反対側の足でも同様に行いましょう。
ポイントは「正しくお尻に力を入れる」ことです。
【ステップ2】横向き姿勢(左右3セットずつ・60秒キープ)
※きつい方は30秒でもOK
1. 横向きで寝て、肩の真下にヒジをつく。
2. 1の姿勢からお尻を持ち上げて、肩からヒザまでが斜め一直線になる姿勢を取る。
そのまま60秒間姿勢をキープする。
ステップ2の「横向き姿勢」は、お尻の横側の筋肉に刺激を与え、左右のバランスを整えることが目的です。
お尻のサイドにある筋肉は「中臀筋」と「小臀筋」です。
これらは片足立ちをするときに働く筋肉です。
中臀筋と小臀筋を鍛えることで、片足立ちをしてもフラフラとバランスを崩すことなく、
ピタリと静止できるようになります。
上半身を持ち上げるほど、お尻ではなく脇腹を使ってしまうので、必ず斜め一直線の姿勢をキープしてください。
ベビーステップ7でお尻年齢をリセットしたいのであれば、「1日1種目」だけでも良いのでエクササイズを続けてください。
もちろんトレーニングを行う時間帯も問いません。
一度に多くの種目を行うことよりも、継続することのほうが重要だからです。
皆さんのライフスタイルに合わせて、ぜひ実践してみてください。
神戸針灸接骨治療院ではこのような健康になるためのお話なども投稿しています。
また、一人一人のお悩みや原因に合わせた治療を行なっています。
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今回はヒップアップ・アーティストの松尾タカシさん著『カラダがみるみる整う お尻年齢リセット術』(日東書院本社)より、内容を一部抜粋・編集した記事を引用させていただきました。
元記事はこちら→実はスクワットは意味がない? お尻のたるみに効く「片足立ちトレーニング」 | PHPオンライン衆知|PHP研究所