最近の気温の上昇や、天候の不順で体調がいま一つという人は、気を付けてほしい。
体内のバランスを調整する自律神経が悲鳴を上げているに違いない。
知っているようで知らない、身体の整え方。
【24時間、身体を見守る】
5月の中旬から日本列島は高気圧に覆われ、季節外れの真夏日を観測する地点が続出した。
年齢を重ねるほど、このような急激な気温の変化は身体にこたえるものだ。
東京都健康長寿医療センター研究所で自律神経を研究する内田さえ氏が注意を促す。
「人体は、気温の変化などの『外的ストレス』が生じると自律神経系を始め、内分泌系や運動系が作用し、その変化に適応しようとします。
高齢になると循環系など自律神経系の様々な機能が低下してくるので、そのような外部変化への調節がしにくくなるのです。
寒暖の変化が激しい季節の変わり目など、環境の大きな変化には注意が必要です」
健康の話をするときに、よく耳にする「自律神経」という言葉。
なんとなく使っているが、「心臓」や「胃」のように明確な臓器があるわけではないので、その実態はイメージしにくい。
人間総合科学大学教授で自律神経生理学が専門の鍵谷方子氏が解説する。
「自律神経の『自律』とは、自動的に制御するという意味です。
人が自分の意思でコントロールできる『運動神経』などと違って、自律神経は眠っているあいだもずっと働いています。
例えば、就寝中も心臓や腸は動いていますし、汗をかくなどで体温調整も行われています。
自律神経は内臓や血管、汗腺など身体のすみずみにまで伸びていて、生命の機能を維持するために24時間動き続けているのです」
体温に心拍数、血液内の酸素量、血糖値といった体内の様々な情報を常にモニタリングしながら、生命を維持するためにそれらを最適な状態に保つために働いているのが自律神経だ。
【自律神経の重要性】
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の二種類がある。
「交感神経は身体を動かすときや活発な精神活動をしているとき、
ストレスがかかったときなどに働く神経です。
一方、副交感神経はごく簡単に言うとリラックスしているときや眠っているときに働きます」(鍵谷氏)
交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキと例えるとわかりやすいかもしれない。
人間の身体はこの二つのペダルをうまく使い分けながら生命活動を維持している。
しかし、急激な気温の変化や精神的なストレス、運動不足や睡眠不足などでこのペダルのバランスが崩れると体調が乱れてしまう。
例えば、極度のストレスがかかってイライラすると交感神経が高まる。
交感神経が優位になると血管が収縮し、心拍数が上がり、その結果、血圧が急上昇して高血圧になる。
この状態が夜まで続くと、なかなか副交感神経が優位にならず睡眠の質が落ちてしまう。
【原因不明の「腰痛」も】
日常生活で「体調がちょっとおかしいな」と感じたら、自分の身体のなかで交感神経や
副交感神経が乱れていないか意識してみるといい。
そうすれば、自ずから体調不良を解決する方法が見つかるはずだ。
例えば、多くの現代人が悩まされる「腰痛」や「肩こり」。
脊柱管狭窄症など骨や関節に異常がある場合もあるが、実は多くの腰痛患者の身体には機能的な問題はなく、痛みの原因の大半はストレス性のものだ。
自律神経に詳しい順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏が解説する。
「病院へいっても原因が特定できない慢性的な腰痛には、自律神経が影響している可能性があります。
緊張やストレスで交感神経が優位になり過ぎると血管が収縮して血の流れが悪くなります。
その状態が長く続くと、血流が滞ってしまい腰や肩などの痛みにつながるのです」
このような痛みの解消には、できるだけリラックスして副交感神経を高めるしかない。
例えば人間関係で大きな悩みを抱えているのであれば、その人と連絡を絶つだけでストレスが減り、腰痛が改善することもある。
【現代ならではの痛みの原因】
また、現代ではスマホやパソコンが痛みの原因になることもある。
デジタル機器を使用すると、姿勢が固定化する上に、次から次へと新しい情報に触れることで交感神経が過剰に活発になる。
機器を遠ざけるだけで、原因不明の痛みが和らぐこともよくある。
次ページの図表を見てもらえば、交感神経と副交感神経がそれぞれ臓器や血管などにどのような影響を及ぼしているかがわかる。
例えば、胃や膵臓といった消化に関わる臓器は副交感神経が優位なときに働きやすい。
食べ物を口に入れると、副交感神経のスイッチが入り、唾液腺が刺激されて唾が出る。
胃も活発に動き始めて胃液を出して消化が進む。
その他、胆汁や膵液などの分泌も行われる。
食後、しばらくして眠くなるのは、副交感神経がよく働いて身体がリラックスモードになっているからだ。
逆にとても嫌なことがあったり、悲しみにくれていたりすると、交感神経が高まった状態が続くので食欲もわかず、食べ物もうまく消化できない。
消化不良で下痢になったり、便秘が続いたりするのは、消化を促す副交感神経がうまく作用していない恐れがある。
食後は激しい運動や難しいことを考えるのは避けて、のんびり過ごすことで良い消化が促されるはずだ。
排便・排尿にも自律神経が深く関わっている。
食べ物の消化が終わり、排便の準備が整うと副交感神経が高まり、内肛門括約筋が自然とゆるみ、便意がもよおされる。
排尿も同じで、我慢しているときは交感神経が優位になり、内尿道括約筋が締まる。
逆に副交感神経が高まると括約筋がゆるむというわけだ。
このように、交感神経と副交感神経はわれわれの生理作用のあらゆる面と関わっている。
神戸針灸接骨治療院ではこのような健康になるためのお話なども投稿しています。
また、一人一人のお悩みや原因に合わせた治療を行なっています。
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今回は「週刊現代」2023年5月27日号の記事より一部引用しました
元記事はこちら→天気による不調や腹痛、腰痛などの原因…《自律神経の乱れ》には「交感神経と副交感神経のバランス」を見直そう(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/4) (gendai.media)