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BMIは「問題」米国医師会が勧告 200年前の指標、見直しのわけ(引用記事)


健康診断の結果、「肥満」の疑いが――。
しかし、肥満の判定の根拠としてよく使われるBMIには長年、
「不完全」という指摘があります。
そして先日、米国医師会がBMIの使用に「問題がある」と勧告。
さらには「人種差別的」とも認めたのです。
BMIを巡って、世界で何が起きているのでしょうか。

【実は2世紀前に開発された】


健康診断の結果で「肥満」の疑いとされ、ショック――。
でも、もしかするとその内容によっては、
一喜一憂しなくていいことかもしれません。

健康診断の結果で「肥満」の疑いなどとされるとき、
その基準の一つになるのが体格指数(BMI)です。
厚生労働省によれば、BMIは国際的に用いられる肥満度を表す指標で、
体重(kg)÷身長(m)の二乗で求められます。

計算方法は世界共通ですが、肥満の判定基準は国によって異なります。
WHO(世界保健機構)の基準では30以上がObese(肥満)です。
日本肥満学会の定めた基準では18.5未満が低体重(やせ)、
18.5以上25未満が普通体重、25以上が肥満で、
肥満はその度合いによってさらに1から4までの段階に分類されます。

BMIが22になるときの体重が「標準体重」。
もっとも病気になりにくい状態であるとされています。
25を超えると脂質異常症や糖尿病、
高血圧などの生活習慣病のリスクが倍以上になり、
30を超えると高度な肥満として、
より積極的な減量治療を要するものとされています。

そんなBMIについて、米国医師会(AMA)が
肥満の基準としては「問題がある」と勧告したことが世界的に話題になりました。

そもそも、BMIは19世紀にベルギーの統計学者ケトレーが発案したもの。
総務省統計局はケトレーがこれを1835年に開発、
「人の身長に対する理想的体重を調べ、実際の体重と比較する指数」
と説明しています。

約200年前に開発されたこの指標は、
長らく、下記に紹介するような問題点も指摘されていました。
そして近年、その見直しが進んでおり、
今回のAMAの勧告はそれを後押しするものと言えるのです。

【なぜ「人種差別的」批判?】


今回、話題になったのは、BMIの問題の歴史を評価し、
代替案を検討するAMA科学公衆衛生評議会の報告書の一部。

そこで指摘されたのは、
BMIは「人種/民族グループ、性別、ジェンダー、年齢層間の違いを考慮していない」
という点でした。

例えば、BMIはもともと
「主に前世代の非ヒスパニック系白人集団から収集されたデータ」に基づいており、
「平均的な男性の体格」を明らかにするためのもの。
これを世界中のさまざまな人々に一律に適用して肥満かどうかを判定してきたため、
BMIは「人種差別的である」とも批判されてきました。

今回の勧告で、AMAはBMIが人種差別的に使用されてきたことを、
「認識している」と表明。

AMAは「BMIは一般集団の脂肪量と有意な相関があるが、
個人レベルに適用すると予測可能性が失われる」
「肥満の基準としてBMIを適用する際には、
人種/民族グループ、性別、ジェンダー、年齢などによる
相対的な体型と組成の違いを考慮しなければならない」としました。

その上でAMA は、
BMIを内臓脂肪、体脂肪率、体組成の測定、腹囲、遺伝的/代謝的要因など、
その他の有効なリスクの基準と組み合わせて使用することを提案しています。
AMAの勧告は強制力のあるものではありませんが、
AMA自体は同国内で医師に対する影響力の大きい組織です。

AMA前会長のジャック・レスネック・ジュニアさんは今回の勧告の中で、
その目的を「医師が臨床現場でBMIを使用するメリットと限界を理解して、
患者に最適なケアを決定できるようにするため」とコメントしました。

BMIは身長と体重さえわかれば簡単に計算できるため、
便利な基準として普及しました。
一方で、アメリカなどでは、BMIが保険の支払いの基準になることがあり、
今回の勧告でも「BMIは、適切な保険の支払いを拒否する唯一の基準として
使用されるべきではありません」と強調されています。

日本でも最近、BMIの数値などにより、
生命保険の保険料が割引されるサービスが始まっています。

2世紀前に開発された、男性の平均的体格を明らかにするための、
非ヒスパニック系白人集団から収集されたデータに基づいた指数である、BMI。
ここ日本でも未だに採用されているのは、それだけ便利な基準だったと言えるものの、
考えてみると少し不思議なことです。

【BMIをどう受け止めるべきか】

BMIだけで肥満かどうかを判定することの問題は、他にも長らく指摘されていました。
一つは、筋肉量と体脂肪量の割合が考慮されないため、
いわゆる「筋肉質」による高体重で、体脂肪率が低い場合、肥満と判定されてしまいます。

逆にいわゆる「隠れ肥満」のように、体脂肪率が高いものの、 
低体重である場合、やせと判定されてしまうのです。 
また、肥満の解消を勧められた人が、運動をして脂肪を筋肉に変えると、 
一時的に体重が増加するため、
BMIも増加して、肥満は悪化したと判定されてしまいます。

また、体重を身長の二乗で割るため、低身長の人ほどやせ、 
逆に長身長の人ほど肥満という結果になりやすいという限界もあります。

例えば記者は身長が1.75mで体重は75kg前後、
体脂肪率は15%前後で筋肉質です(写真)。
その他の健康診断の検査結果や問診で肥満ではないと判定されますが、
BMIだけで言えば約25です。
測定のタイミングによっては、BMIだけでは肥満に当たり、
健康診断結果にチェックマークがついてしまうことも。

ちなみに、BMIから計算される「理想体重」もあります。
日本ではBMI22が理想体重とされ、記者の場合は約67kg。
現在の体重から、かなり筋肉量を落とさないと辿り着けない数字です。

ここで、BMI22が「理想」とされるようになったのは、
30~59歳の日本人男女約5000人の
健康診断の結果を調べた1991年に発表された研究(※2)で、
異常値がもっとも少なかったのがBMI22だったから。
一方で、この研究ではがんが対象に含まれていませんでした。

一方、40~59歳の日本人男女約2万人ずつを10年間追跡し、
BMIと総死亡率との関係を調べた研究(※3)では、
BMI23~24.9で死亡率がもっとも低い結果になったことが知られています。

そして、この研究では、
女性はBMI19~24.9では死亡率にほとんど差がない(低い)一方、
男性は23~24.9より上でも下でも死亡率が高まりました。
この研究においては、肥満度と死亡率の関係は、
女性よりも男性の方が強いと言えます。

こうした結果を受け止めるときには、
これが多くの人のデータから見た「傾向」であることに注意が必要です。

まずは、太りすぎややせすぎなど、大きな傾向から外れないように心がけてみること。
その上で、基準前後の人は一喜一憂せず、
「個人レベルに適用すると予測可能性が失われる」
というBMIの弱点を思い出してみてください。
できるところから食事や運動など、生活を改善していくことが一番、大事です。

そろそろ年度初めの健康診断の結果も返ってくるころ。
結果に当たり前に記されていることにも、こうした背景があることを知ると、
ただ面倒なだけの健康診断ではなく、本当に健康になるための第一歩になるはずです。

神戸針灸接骨治療院ではこのような健康になるためのお話なども投稿しています。


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今回は朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎さんの記事を引用させて頂きました。
元記事はこちら→BMIは「問題」米国医師会が勧告 200年前の指標、見直しのわけ (withnews.jp)